はじめに

コロナの流行により社会が大きく変化し、有名大学を出て大手企業に就職することが何よりも安心安全ではなくなってしまった世の中。

多くのお母さま方から
「子どもの将来が不安」
「どんな道を選ばせることがリスクが少ないのか」
「今まで当たり前に思っていた理想のロードマップが揺らいでしまった」
などの声を頂くようになりました。

どのような時代が来ても『子育てにおいて最も大切なこと』はたった一つなのです。

多くのお母さま方に安心して自信をもって子育てしていただけるように、様々な観点から『最も大切なこと』を毎週お伝えしていきたいと思います。
お母さまのご不安が解消され笑顔のご家庭が増えますように。
どうぞお付き合いください。

自己肯定感が一番大切

コロナによる学校休校期間、お子さまと向き合う時間が増え、お子さまとの接し方などお迷いがたくさんあったと思います。

どんな時代になっても子育てにおいて最も大切なことは『自己肯定感を高めること』です。

「お子さまの自己肯定感を高めましょう!」という言葉は、子育てセミナーや子育て本などで多く目にされると思います。
「わかっているけれど実践できない。」
「とにかく褒めたらいいの?」
などの声を耳にします。 

大切なのは、
「お子さまの無意識を傷つけないこと。」
「お子さまの邪魔をしないこと。」

目の前の成績や悩みにとらわれず、少しだけ先に目を向けることを意識して、お子さまを応援し、安心させてください。
お子さまにとってお母さまの影響はすごく大きいのです。
徹底的に自己肯定感が上がるような言葉をかけてあげてください。

なぜ自己肯定感が大切なのか?

お子さまに幸せになってほしいという思いは誰もが同じです。

そのためには、とりあえず学校で良い成績を取り、中学受験をして中高一貫校に進学し、有名大学に入ることが最良だと思っている方が多いでしょう。

しかし、学校で優等生と言われる子ほど、勉強はできるが、自己評価が低いのです。
自ら道を切り開く力がないのです。

これからますます大きく変化する世の中において活躍できる人は「自ら道を切り開く力」をもった人です。

自己肯定感が高い人は、社会に出ても自ら道を切り開き頭角を現すことができるのです。
どんな時代がきても困難を乗り越える力があるのです。

自己肯定感はとても大切なのです。

コロナ流行で大きく変化する社会

コロナの流行により、社会はどんどん変化しています。
すでに働き方や雇用のあり方も変革しています。
イギリス産業革命で世界が機械のある暮らしに変わったように、コロナによりオンライン化が大きく加速しました。
これらかますます本格化するIT革命によって新しく生まれる職業と必要のなくなる仕事が選別されるでしょう。

先生や親から言われたことをきちんと守る「優等生」の仕事は必要なくなってしまうのです。
また、オンライン化すると、個人の仕事内容が明確になります。
所属する会社や肩書にとらわれず、公平に評価される。

つまり、できる人とできない人が明らかになり、できる人のみが社会で必要とされるようになるのです。

できる人=自ら行動できる人。自己肯定感が最も大切なのです。

趣味と職業

日頃中高生に接していると「将来こんな風になりたい」と言える子がとても少ないのを実感します。
「とりあえず、大きな会社に入りたい」と口にする子が多いのです。
おそらくお母さまお父さまの影響でしょう。

昨今の社会情勢からも、大企業=安心で豊かな生活という方程式は崩れつつあります。

私は、職業と趣味は極めて近いものであり、趣味と職業の区別が付かない方ほど暮らしは豊かであると思っています。

趣味は、自分の好きな事で自己満足です。
しかし、趣味が高じて誰かの役に立つようになると職業になるのです。

「自分の好きな事が誰かの役にたつ」これが最高の職業であると思います。

お子さまにとって大切なことは、好きな事を磨き続けること。
自己肯定感が強く自信に満ち溢れていて「私はこれが好き」と言える人間がこれからの社会はノーリスクなのです。

番外編・子どものスマホ中毒どうすれば?

これまでにいただいた質問にお答えします。

Q. 隙有らば、スマホで漫画を見ている娘。
使用時間を制限しましたが、ストレス解消になっている様子もあるので、 バトルにならない、良い解決方法があれば教えてください。
(小6受験生母)

A. 受験生に限らずゲーム、スマホ、YouTube、マンガなど、いつでも手に届く環境ですので、学年に関係なく誘惑されるのは当たり前です。

夜間の使用時間制限は、睡眠時間を考えると良いと思います。
しかし、時間制限することはあまりオススメしません。
制限された時間勉強に集中する訳ではありません。

スマホをどう使うかが焦点です。

中学受験の仕上げ期に、塾と勉強の話だけになるとスランプの時など会話が限定されます。
お母さまも一緒にマンガを読み、お子さまの息抜きのお話相手になれれば最高ですね。
うまく活用すれば、親子関係良く中学受験を乗り切る良い時間になるかと思います。

仕事の在り方の変化

素人の仕事とプロの仕事の差別が付きにくい社会になってきました。
さらに、ネット社会の広がりで、提供者と消費者が直接つながれるようになりました。
クラウドワークスなどを使って、個人の仕事を直接社会に出せるようになったのです。
さらに、過去の仕事はネット上で公平に評価されてしまいます。

つまり、消費者には優しく提供者にはとても厳しい社会です。
これからは皆と同じでは評価されない社会、皆と同じを目指すことがリスキーなのです。


仕方がないのですが、学校生活は、皆が同じことを求められる没個性な社会です。

だからこそ、お母さまがお子さまの個性を守り伸ばすことが大切になってくるのです。
「皆と同じになる必要はない」とお母さまがお子さまに伝えてあげてください。
「私はこのままでいいのだ」と思える自己評価の高いお子さまを育ててあげましょう。

自己肯定感を高めるには何をしたらよいのか?

お子様の自己評価を高めることが大切だと言うことは多くの方がお分かりなのだと思います。
では、具体的にどうしたらいいのか?


お子さまの自己肯定感を高めるためにすることはただ一つです。

お子さまのやりたいことを全部応援してあげることです。
または一緒にやってみるのです。

お父さまお母さまは、お子さまが新しいことを始めるとビックリし心配になってついついストップをかけてしまうのです。
お子さまが自分で興味を持ったことに夢中になれば集中力も養われます。
お母さまにとってはなかなか整理がつきにくいところではあると思いますが、
まずは、お子さまがやりたいと言うことを一つずつ認めてあげましょう。
そして応援してあげましょう。

お母さまに認めて応援してもらえたら、お子さまの自己肯定感は必ず高まります。

勤務校での子どもたち

私が顧問をしているクラブ活動はハードで有名です。

しかし、一生懸命に何かに向き合う部員は、寝食よりクラブ活動に没頭しておりとても充実した時間を過ごしています。

ところが、
「宿題をやってからクラブ活動をやりなさい。」
「成績が下がったからクラブ活動を制限します。」
などストップをかけるお母さま方がいらっしゃるのです。

多くのお母さま方は、何かに没頭するお子さまを見守る忍耐力が足りないと日々感じております。
どうしてもやりたいことがあるお子さまは、親や先生が止めても気持ちは揺るぎません。
そのエネルギーがクリエイティビティを鍛えます。

お子さまが嫌だと思う事を強要しても良い結果を生みません。

お子さまが夢中になっていることがあったら、
目先の成績より少し先に目を向けて、まずは見守る努力をしましょう。

お母さまに徹底的に応援されているお子さまは自己肯定感がとても高いのです。

お子さまの自己肯定感をあげる手っ取り早い方法

お子さまの自己肯定感をあげる手っ取り早い方法は?

これは、お母さまの自身の自己肯定感を高めることです。

どうしたら、ご自身の自己肯定感を高められるのか。

これは、ご自身の未来について考えてみることです。

10年後、お子さまが成人した後、お母さまがどんなふうにご自身の人生を楽しく過ごしていたいか。
日々の生活に追われ、未来について考える余裕が持てないと思いますが、少しの時間でも構いません。
ご自身の未来に向けた目標を考える時間を作ってみてください。


「あんなことをしたい。」「こんなことをやるんだ。」と意識するだけでも、お母さま自身の自己肯定感は確実にあがるのです。
そして、自己肯定感は必ず伝染します。

お母さまの自己肯定感があれば、お子さまの自己肯定感は自然と高まるのです。

ぜひお試しください。

番外編・受験直前お母さまがするべきこと

これまでにいただいた質問にお答えします。

Q.受験まであと少しのこの時期になってやる気をなくし、失速してしまいました。どうすれば良いですか? (小学6年生母)

A. 中学受験の仕組みは劣等感を植え付けやすく、成長に良くない仕組みだと考えています。

塾では良かれと思って、お子さまの不得意な分野をクローズアップし、何度も反復させられます。
できない事を繰り返すうちに「自分は出来ないダメな人間なんだ」と思い込みがちです。
勤務校ではバネが伸び切った状態になっている中学一年生をよく目にします。

そうは言っても受験はすぐそこに迫っているので、戦うしかありません。

塾でお子さまはとても頑張っています。
せめてお家では傷口に塩を塗るような責めた口調で反復練習はしないでください。
この時期にお家でやるべき事はお子さまに安心感を与え、労う事、ただそれだけです。
お子さまの心にも余裕が出来て、メリハリを持って、受験当日まで頑張ってくれると思います。

中学受験の仕組みは自分なりにのんびり深く広く、色々な価値観から物事を考える機会を奪うとても平面的な作業です。
志望校の合否は大切ですが、平面的な処理能力を求められる中学受験にロックオンしすぎないようにしてください。
入学後、お子さまがゆっくりと自分で考え、きちんと意思決定できることはもっとずっと大切なことであり、お子さまの人生を豊かにするでしょう。

あとちょっと頑張ってくださいと願うとともに、
「あれも出来ていない、これも出来ていない」とダメなところを責める事は塾にお任せして、
お家では労ってあげてください。