やめるという選択

幼稚園から大学まで一貫校に通うお子さんが小学校卒業を機に、

私立をやめて、地元の公立校に行くという決断をしました。

 

最初お子さんから退学の意思を聞いた時、

ご両親は「何を言い出すの?もったいないからやめちゃダメ!」

と聞く耳を持たなかったそうです。

 

ご両親としてみれば、大学卒業まで受験とは無縁で

エスカレーターに乗って卒業できるのですから当たり前です。

 

「受験を回避する」ことも理由に幼稚園から一貫校に入れたのですから

3年後に高校受験のある公立に転校するなんてありえないと唖然。

 

学校が嫌な訳でもなく、毎日通学し、お友達とも仲良くしているので

ご両親としても不思議でならなく、とにかく時が過ぎるのを待ちましょう

としばらくの間、無視し続けました。

 

お子さんはそれでも負けません。

 

聞くだけ、あくまでも聞くだけ!

と年末に家族会議を開きました。

 

「大変だと言われている受験のない、幼稚園から大学まで続いている学校に入れてくれた両親には感謝している。本当に感謝している。ただ、違う世界も見てみたい。今いる学校はみんなが同じものを良いと思っていて、同じ目標を達成するために、同じ動きをすることが良いとされていて、なんだか自分には合わない。私は違うと思うって言えない。大人になってしまう前に、違う意見も面白いねって言ってもらえるところがあるのか確かめたい。」

 

と言われてご両親はハッとしたそうです。

 

いつの間にか、子どもがこんなに成長していたとは…

 

幼稚園受験、小学校受験は120%親の意思。

子どもが選ぶことはありません。

9年間通った学校を嫌いでやめるわけではなく、

先生やお友達に感謝して、新しい環境を選ぶ娘を誇りに思う。

 

家族会議を終えて、ご両親の思いは180度変わり、

すぐに退学手続きに動いたそうです。

 

多くの親は、子どもに良かれと信じて受験をさせます。

 

ただ、入学後、もしもお子さんが「違う」と感じた時に、

子どもの声に耳を傾けることは大切だと思います。

 

得たものを捨てる、続いて行く道をやめることは簡単ではないけれど

もしも子どもがそれを選ぶなら応援してあげたい。